復職可能かどうか判断するのは「会社」だが、判例上留意すべき点がある
一般的に会社が必要性を判断し休職発令したわけですから、復職についても基本的には会社が判断することになります。
ただし、会社の裁量で自由に判断できる事柄ではなく、休職期間満了時の当該社員の客観的な回復状況をもって判断すべきとされています。【北産機工事件(札幌地裁 平11.9.21判決)】
治癒の判断は原則として「従前の職務を通常程度行える健康状態」に回復したときと解されています。【平仙レース事件(浦和地裁 昭40.12.16判決)ほか】
しかし雇用契約上、職種・業務内容が限定されていない場合は休職前に従事していた業務に復職することが困難であったとしても、他の業務への配置転換や業務の一時的な軽減などを検討した上で復職可否を判断することが必要となります。【片山組事件(最高裁三小 平10.4.9判決)、独立行政法人N事件(東京地裁 平16.3.26判決)ほか】
復職希望時には「復職診断書」の提出を
また、会社が判断するといってもやはり医学的な根拠は必要です。そのため、少なくとも復職希望の1ヶ月前には復職希望の意思を示し、「復職診断書」を医師に発行してもらうようにしておくと良いでしょう。
「復職診断書」のフォーマットは会社側で用意します。内容は、以下のような点を盛り込んでおくと良いでしょう。
・社員氏名・生年月日
・診断名
・現在の病状と今後の見通し
・復職後の業務について
例)本来の通常勤務ができる、一部配慮が必要 など
・復職に際し、必要な就業制限
例)時間外労働制限、深夜業務制限、車両運転制限 など
・投薬・処方内容
・職場復帰可能時期
・医療機関・主治医名