TRAVESSIA

head2.jpg


対策ボタン1.gif対策ボタン1.gifblank.gif対策ボタン2.gif対策ボタン2.gifblank.gif対策ボタン3.gif対策ボタン3.gifblank.gif対策ボタン4.gif対策ボタン4.gif


MHtitle1-1.gif

MHtitle2-1.gif

 心の健康である「メンタルヘルス」が注目されていることは、日々のメディアの報道等でさかんにとりあげられているように、すでに皆さんご承知のことと思われます。うつ病は年々増加傾向にあり、成人の10人に1人はうつ病を経験しているといわれています。

 ではなぜ、「『職場』のメンタルヘルス」なのでしょうか。

 現在、労働基準法では「使用者は、1週間の各日については、労働者に休憩時間を除き1日について8時間を超えて労働させてはならない」と定められています。そのため、多くの企業において毎日の所定労働時間を8時間としています。8時間というと1日のうち、その3分の1占めることとなります。
 ただし、8時間はあくまでも所定労働時間ですから、時間外労働を含めるとさらに多くの時間を職場で過ごしているといえるでしょう。
 このように、私たちは1日の大半を職場で過ごしています。だからこそ、「職場」でメンタルヘルス対策を行うことに大きな意味があるのです。

ページの先頭へ

MHtitle2-2.gif

◆新時代のメンタルヘルス対策とは?
 これまで多くの企業において社員の健康管理、特にメンタルヘルス対策というと「福利厚生」という位置づけで捉えられてきました。
 最近では「リスクマネジメント」といった観点から、取り組みを行う企業も増えてきています。もちろん、それも1つの考え方でしょう。ただ「リスクマネジメント」というと、どうしても「義務」や「責任」から仕方なく…といった消極的なイメージがぬぐえません。
 私はこれからの時代、企業における社員の健康管理は「企業経営の長期的な継続と発展の礎となる必要不可欠な要素」であり、企業自ら能動的かつ積極的に取り組むに値するものと考えています。

ページの先頭へ

◆価値観の変容と「つながり」の復活
 2011年3月11日、私たちは「東日本大震災」という非常に大きな災害を経験しました。
 津波は町を根こそぎ削り取り、多くの犠牲者を出しました。被害にあわれた方々には、心より哀悼の意を表します。また、唯一の被爆国であり放射能被害の恐ろしさを十分に知っているにも関わらず、便利さや効率を優先して推し進めてきた原子力発電の安全神話は崩れ、残念ながら1年を経過した今もなお、事態の収拾には至っていません。
 しかし、この大災害において、私たちは大切なことを学びました。国内はもとより、海外からも様々な形で多くの援助が寄せられました。コンビニの募金箱はあっという間に紙幣でいっぱいになりました。首都圏を中心として電力規制が行われ、便利さや効率は下がりましたが、市民は皆それを享受しました。
 これら1つ1つが文化や環境が違っても、「ひと」は目に見えない『つながり』によって、思いやり・助けあい・絆を結ぶことができるのだということを教えてくれました。これからの企業経営において、この【「ひと」と「ひと」との『つながり』】が、その企業の存在価値を示す重要なキーワードとなってくるのではないでしょうか。

ページの先頭へ

◆企業活動の主役は?
 そこで皆さんに質問です。 「企業経営の中で主役を選ぶとしたら、いったい誰でしょう?」
経営者?それともお客様? 株式会社でしたら株主と答える方もおられるかもしれません。

私の答え…それは間違いなく「社員」です。

 「社員」がいなければ、会社は事業を続けることができません。それは、交通機関のストライキを見ても明らかです。また、会社とお客様とを結びつける窓口になるのも「社員」ですし、お客様にサービスを提供するのも「社員」です。いくらお客様第一主義といっても、社員にやる気や元気がなければ質の高いサービスを提供することは難しいでしょう。
 これらの理由から一番の主役は、やはり「社員」であると言えます。ですから企業はまず一番に「社員」を大切にする必要があるのです。

ページの先頭へ

◆「社員を大切にする」とは?
 では「社員を大切にする」とは、具体的にはどういうことでしょうか。もちろん、色々な方法が考えられるでしょう。
 その中でも、もっとも重要な1つに「社員の健康を守る」ことが挙げられます。社員ひとりひとりがその能力を最大限に発揮し、いきいきと輝くことができる。個人主義ではなく、お互いに思いやり・助け合い、組織として結集した能力を「大きな力」に変えることができる。
 その「大きな力」で創造した素晴らしいサービスや価値ある商品をお客様にご提供する。それにはやはり企業が率先して社員の健康を守っていくことが大切です。健康でなければ持っている能力を最大限に発揮するのが難しくなるからです。

 社員の健康が守られなければ、まずその社員のパフォーマンスに影響を及ぼします。悪くすると業務に耐えられず休職することになるかもしれません。その結果、本人にとって身体的にも精神的にも苦痛が生じます。また、周囲の人々への影響も考慮しなければなりません。
 社内では他の社員にしわ寄せがいき過重労働を引き起こし、また健康を害するという悪循環が生じる恐れがあります。また、その社員にしかできない業務があったとすれば、お客様に多大なる迷惑をかけることはもちろん、そのサービスの継続さらには会社経営の存続が危ぶまれる事態を招くことも考えられるでしょう。
 一方社員の家庭ではどうでしょうか。独身者はもちろんのこと被扶養者をかかえる場合、一家の大黒柱が倒れることによる影響は深刻です。家族にとっても、自宅での介護や通院や心配による身体的・精神的なストレスを受けることが考えられます。
 また、経済的な不安も大きいでしょう。病気やケガによる休職の場合、無給扱いの企業が一般的です(労災の場合を除く)。健康保険からの給付(傷病手当金)も大体毎月の給与の6割程度の額しかもらえません。これに医療費が加わり、さらに家計を圧迫することになります。

ページの先頭へ

◆「社員の健康を守ること」こそ企業発展と継続のカギ
 会社が心から社員を心から大切に思い、積極的に健康管理に取り組む姿勢を見せることで、これらの不安が解消され安心して働くことができます。
 社員は皆、縁あって同じ会社で働くことになった「家族」のようなもの。そして、会社を離れれば一人一人が誰かにとって大切な家族であり、かけがえのない存在なのです。そう考えると「積極的に健康を守らなければならない」という気持ちが、心の底から自ずと湧き出てくるのではないでしょうか。
 また、ひとは「自分が大切にされているか」を敏感に感じ取ります。そしてその実感を得られると、とても満たされた気持ちになります。そして自分の心が満たされて初めて他の人々のことを大切にすることができるのです。
 社員を大切にすることで、社員同士もお互いを大切にし、会社を大切にし、お客様を大切にすることができる。そんな素晴らしい会社を作るための第一歩が「社員の健康を守る」ことなのです。
 そして、その思いを経営者自ら社員に対して明言し、常に発信し続けること。これこそが社員の健康を守る貴重な第一歩になることでしょう。

ページの先頭へ

MHtitle2-3.gif

◆身体の健康から、心の健康「メンタルヘルス」へ
 これまでのお話で「『社員の健康を守る』ことが、企業経営においていかに大切であるか」ご理解いただけたことと思います。では、その守るべき「健康」とは具体的に何を指すのでしょうか。

 従来「健康」というと、主に「『身体』の健康」を意味していました。労働安全衛生法においても、定期健康診断をはじめとして各種健康診断の実施義務が定められていますが、その診断項目は「身体」が対象です。

 ところが、昨今「身体」だけでなく「心」の健康に注目されるようになってきました。

 心の健康=メンタルヘルス…というわけです。ではなぜ「メンタルヘルス」に、これほど注目が集まっているのでしょうか。

ページの先頭へ

◆メンタル不調者は年々増加
 1つめは、「うつ」をはじめとするメンタル不調者の増加が挙げられます。財団法人労務行政研究所が2010年4~5月に実施した「企業のメンタルヘルス対策に関する実態調査」によると、「過去にメンタル不調で休職した社員がいる」企業は92.7%とほぼすべての企業にのぼります。
 一方、職場復帰の割合が半分に満たない事業所は、1,000人以上16.2%、300~999人25.6%、300人未満32.4%となり、規模が小さいほど完全復帰の割合は低い傾向がみられます。日本における421万企業のうち99.7%は中小企業ですから、全体としてはまだまだ企業におけるメンタルヘルス対策は遅れていることが見てとれます。
 ところが、メンタルヘルス対策の実施状況については、何らかの施策を「実施している」企業が86.5%と8割台を占めました。特に300人未満規模では35.9→72.4%とこの5年間で倍増しています。ということは、その講じている施策の効果が十分に発揮できていないということではないでしょうか。

 施策の具体的な内容を見てみると、1位「心の健康対策を目的とするカウンセリング(相談制度)」(70.2%)、2位「電話やEメールによる相談窓口の設置」(67.0%)、3位「管理職に対するメンタルヘルス教育」(59.6%)となっています(複数回答)。この結果は、単に相談制度や窓口の設置を行うだけでは十分ではないことを示していると言えます。
 さらに、この調査の対象は3,917社ですが、回答があったのはわずか252社と全体の約6%とかなり回答率低くなっています。つまり多くの企業が自社の実態を公開していないということです。特にメンタル不調者を多く出している企業は情報を公開したくないのが本音でしょう。このことから、実際の企業におけるメンタルヘルスの問題はもっと深刻であると推測することができます。

ページの先頭へ

◆メンタル疾患に関する労災補償件数の大幅増加と新認定基準策定など
 2つめは、労災補償件数の大幅な増加です。厚生労働省によると、平成22年度における「精神障害などに関する労災補償」の「請求件数」は1,181件と2年連続で過去最高で、「支給決定件数」も308件と過去最高でした。
 年齢別では、請求件数・支給決定件数ともに「30~39歳」(390件・88件)、「40~49歳」(326件・76件)、「20~29歳」(225件・74件)の順で、企業を担う働き盛りの層に多いことがうかがえます。
 精神障害の労災請求件数大幅増加に伴い、平成23年12月26日厚生労働省は従来用いてきた判断指針を廃止し、新たに「心理的負荷による精神障害の認定基準」を策定しました。これまで全ての事案について行ってきた精神科医の合議制度を事実上廃止し、判断が難しい事案のみに限定するために具体例を示すなど分かりやすい心理的負荷評価表(ストレスの強度の評価表)を定め、認定の均一化と迅速化(6ヵ月以内の決定)を目指すとしています。また、新基準を周知することにより認定の促進も図っていくとしていることから、今後ますます精神障害などに関する労災申請件数および認定件数の増加が予測されます。
 また労働安全衛生法を改正し、毎年1回医師又は保健師による「ストレスチェック」を義務づけようという動きも出ています。

ページの先頭へ

◆ますます深刻化する自殺者数の増加
 3つめは自殺者数の増加です。警察庁の自殺統計資料によると、我が国の自殺者数は平成10年以降13年連続して3万人を超える状態が続いています。
 では、自殺は他の死因と比べて多いのでしょうか。厚生労働省の人口動態統計によれば、平成21年における主な死因の構成割合は「悪性新生物(=がん)」(30.1%)、「心疾患」(15.8%)、「脳血管疾患」(10.7%)、「肺炎」(9.8%)、「老衰」(3.4%)、「不慮の事故」(3.3%)、に次いで「自殺」(2.7%)は第7位と一見低いように見えます。
 しかし年齢別で見てみると、15~49歳に限っていえば自殺は1位か2位であり、特に20~24歳で49.8%、25~29歳で48.8%と、20代では死因のほぼ半数が自殺という結果が出ています。
 比較的若く、生産性の高い世代でこうした現象が見られるのは企業としてはもちろん、国としても見過ごすことのできない「ゆゆしき事態」と言うことができるでしょう。

以上3点から見ても、「メンタルヘルス」が注目されている理由がお分かりいただけるのではないでしょうか。

ページの先頭へ