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就業規則等、諸規程の整備
 まずは、就業規則など諸規程の整備から始めると良いでしょう。現行の就業規則において、休職や復職に関して、どのような内容が規定されているか、確認してみましょう。おそらく、ほとんどの就業規則に、上記に関する何らかの規定があるはずです。その内容を1つずつチェックしていきましょう。

 従来、休職に関する規定は、あくまで身体的な怪我や病気を想定したものが多く、ここ数年で急増したメンタル不調に特有の事例を想定した対応は、まだまだ十分でないのが現状です。そのため、いざ不調者が出て規定を確認してみて、困ってしまうケースが多いのです。
 このようなケースに対応するために、「休職の必要性」と「復職ができるかどうか」についての「判断」については、あくまでも「会社側」に行うものであるということを定めておきます。また、休職については、あくまでも会社が業務命令として「命じる」ものであることも、規定しておきましょう。

 就業規則にこれらの定めがあることにより、会社が休職すべきと判断し、休職を命じることができれば、社員の自己判断による出勤を防止し、しっかり療養に専念してもらうことができます。このような規定に沿った運用をすることにより、必要な期間、十分な休養をとって適切な治療を受けることになり、結果的にスムーズな復職につながるケースが多いのです。まさに、職場のメンタルヘルス対策において、欠かすことのできない重要な規定の一つであると言えるでしょう。

 その他、医療機関への受診命令、休職に至るまでの欠勤期間の通算や、休職期間の通算、休職・復職の可否判断、再休職、休職期間満了と労働契約の終了など、職場のメンタルヘルス対策において、とりきめておくべき規定は沢山あります。
 その1つ1つの規定の作成する意味をきちんとふまえながら、整備を行なっていくことが大切です。


人事制度の整備
 休職・復職に際して、それをバックアップするための人事制度を整備しておくことも大切です。例えば、以下のようなものをあらかじめ定めておくことが必要です。

・メンタル不調で休職する場合、その間の人事上の取り扱いをどうするのか。
 所属は従前の部署のままでいいのか、それとも総務や人事・労務付にするのか。
・復職後も引き続き同じ部署に復帰してもらうのか、それが無理な場合は別の異動先を用意できるか
・休職中のフォローは、誰がどのような形で行うのか
・休職中や段階的な復職中の人事評価・賃金・昇給・賞与等の処遇はどうするのか

 これらの制度や処遇の内容をきちんと決めて整備し、休職者と会社との間で合意しておくことで、社員・会社とも安心して休職・復職期間を過ごすことができます。


労務管理体制の整備
 3つめは、適切な労務管理体制を整備しておくことです。その理由は、大きく分けて2つあります。
★メンタル労災を防止する
 1つは、いわゆる「メンタル労災」を防ぐためです。長時間労働がメンタル不調の発生に大きく関係していることは、従来から指摘されています。さらに、平成23年12月26日厚生労働省は従来用いてきた判断指針を廃止し、新たに「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」を策定したことで、職場における長時間労働防止の必要性を高める追い風となりました。
 この新基準では、長時間労働と業務による心理的負荷の強度の判定について、具体的な時間外労働時間数や複数の出来事が存在する場合の全体評価の基準が示されています。
 まず、それ単独で業務による心理的負荷(ストレス)の総合評価が「強」と判断される「特別な出来事」として、以前は「極度の長時間労働」とのみ記載があったものを、「発病直前の1ヶ月におおむね160時間程度の時間外労働をおこなった場合」と具体的に明示しました。

 次に、心理的負荷が「強」となる時間外労働時間数として、
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・発病直前の連続した2ヶ月間に1月当たりおおむね120時間以上
・発病直前の連続した3ヶ月間に1月あたり100時間以上
・心理的負荷が「中」の出来事の後に、月100時間程度
・心理的負荷が「弱」の出来事の前後にそれぞれ月100時間程度
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などが、具体例として挙げられました。

 これらの例からも、時間外労働数単体で見て多い場合はもちろん、他の出来事との組み合わせでも、長時間労働が心理的負荷に大きな影響を及ぼすものとして、重要視されていることが良く分かります。

★勤怠の乱れによる早期発見
 もう1つの理由、それは勤怠の乱れをチェックするためです。出勤簿やタイムカード、時間外記録簿などの勤怠のデータから、実にさまざまな情報を得ることができるのです。
 多くのメンタル系疾患では、遅刻や早退、欠勤など勤怠の乱れが見られます。例えば勤続10年、ずっと無遅刻・無欠勤だった人が、遅刻をしました。1回きりかと思っていたら、その後も、数分の遅刻がぽつぽつあります。この情報だけで、ひょっとして体調が悪く、朝起きられないのかな?という推測ができます。この時点で本人にアプローチすれば、まだ比較的軽い段階で医療機関につなぐことができ、結果的に早期発見・早期治療・早期回復につながるのです。

★具体的な整備内容とは?
 ではどのような制度にすれば、効果的な労務管理体制ができるのでしょうか。それには、勤怠のチェック体制を強化することです。本来、勤怠のチェックはその社員の上司が行うべきものです。
 しかし、IT化の進んだ現代においては、外出先でも仕事ができるため、上司や社員が不在で顔を合わす機会がないという会社も多いことでしょう。
このような場合では、逆にIT化を利用し、勤怠をウェブや社内システムを使って日々チェックできるようなシステムを導入すると良いでしょう。
 そして、少しでも普段と違う変化に気づいたら、人事・労務担当者へ連絡するような体制を整えて
おきましょう。この部署間の情報連絡が日ごろからスムーズにいっていれば、問題が大きくなる前に対処することが可能となります。

 また、長時間労働の防止のためには、時間外労働を申告・許可制にすると良いでしょう。これにより、上司は部下である社員の時間外労働の状況を把握することができますし、負荷がかかっているようであれば他の社員と業務を分担させたりして、負荷を軽くすることも可能です。
 ここで、見落としがちなのが、管理監督者の時間外労働です。管理監督者は労働基準法上の労働時間・休憩・休日について、適用から除外されています。そのため、タイムカードを押さなかったりと、勤怠管理が行われていないケースが多く見受けられます。
 しかしながら、管理監督者でも深夜業に係る割増賃金は発生するため、深夜まで時間外労働した場合は、深夜時間帯の分の時間数を記録しているはずです。その頻度が多ければ、管理監督者自身が恒常的な長時間労働に陥っている可能性があります。その点について、十分気をつけておく必要があるでしょう。