どのメンタル疾患においても、基本的に患者さんは苦しんでいます。その苦しみは、一般の人が落ち込んだり悲しくなったりする時に感じるものとは比べようもないほど大きく、計り知れないものだといいます。
どんな病気でも、なろうと思ってなる人はいないでしょう。特に「心の傷や痛み」は目には見えません。それだけになかなか周囲の人にその苦しみを分かってもらえず、病気の苦しみに加えて、更に辛い思いをしておられる方も多いのです。
メンタルヘルス対策に携わるとき、あくまでも「病気」ではなく、目の前にいる「ひと」主体で考えることが大切です。
患者さんは1人1人違う人間です。そして、それぞれに人生の物語があります。そのため病名は同じであっても、病気が及ぼす影響の大きさやその苦しみの度合い、治療の効果の出方など人によって様々であり、「この人の症状は○○病かな…」「あの人は△△病だから…」と症状や病名でひとくくりにし、マニュアル的な対応をすることはできないのです。