★「危険なサイン」とは。
「メンタル疾患は死に至ることもある病気である」という点においては、全ての患者さんに当てはまります。特に初期や回復期にその可能性が高まります。
しかしながら上記にも挙げた通り、初期ではその危険なサインが分かりづらい可能性があります。重複になりますが、「見た感じ」に惑わされないようにすることが肝心です。その上で、以下の点に注意しながらサインを読み取っていきましょう。
(1)自殺に関する言葉を口にしたり、自傷行為をしたりする
「死にたい」「消えてしまいたい」「辞めたい」「楽になりたい」「生きていても仕方がない」「自分には未来がない」など、自殺をほのめかすような言葉を口にしたときはもちろん、リストカットなどの自傷行為も危険なサインです。
(2)過去にも自殺をはかったことがある
これまで自殺を試みたことがある場合、再び同じことを繰り返す可能性が高いといわれています。ただし一方で、多くのケースでは初めての自殺で亡くなっているということも同時に知っておく必要があります。
★危険なサインが見られたら
では実際、言動に危険なサインが見られたらどうすれば良いのでしょうか。この場合「周囲の人の温かいサポート」が何より有効です。
「あなたは一人ではない、みんながついていますよ。一緒に乗り越えていきましょう」という心のこもったメッセージを発信し続けること。そして態度や行動で示すことです。具体的には、まず本人の話にじっくりと耳を傾けましょう。初めはなかなかうまく言葉にできなくて、会話が途切れたり沈黙が続いたりすることもあるかもしれません。
そのような場合でも、話し始めるのをゆったりとした気持ちで待ちましょう。「死にたい」といったことを口にするのは、「死にたいほど辛い」からなのです。その気持ちを受けとめます。「そうか、それほど辛かったんだね…」と、その気持ちに寄り添い共感します。
患者さんは、悩みや苦しみを口にだすことで、気持ちの整理がつき冷静になれます。その上で、「でも、あなたが死んだら私も悲しいし、同僚のみんなやご家族など悲しむ人は沢山いるよ」と、心をこめて「あなたが大切なんだ」というメッセージを伝えます。
一方で、家族にも危険な状態であることを伝えます。もし1人暮らしの場合は、誰かが付き添うなど安全な場所に確保しましょう。同時進行で速やかに信頼できる医療機関を受診し、できれば会社側のスタッフと社員の家族が一緒に同行し、医師の診断を仰ぐようにしてください。